タイムレスサウンドの故郷”BEARSVILLE”への旅路

By |2022-06-23T14:51:42+09:002022/06/03|Categories: COLUMN, ロック|0 Comments

ご存知の読者もいるかと思うが、どうかこのコラムでは私と一緒にタイムレスサウンドの故郷"BEARSVILLE"への旅路にお付き合い願いたい。   BEARSVILLE RECORDSとは、NY郊外のウッドストックを拠点としたレー ベル兼レコーディングスタジオである。今回はここへあなたと一緒に行きたいのだが、残念ながら2006年に彼の地からは失われてしまったので、タイムマシンのダイアルを1967年に合わせてウッドストックへ向かおう。   あゝ、木々の間から原っぱでオートバイに跨って遊ぶボブ・ディランやフットボールに興じるザ・バンドのメンバーたちが見えてきた。 当時のウッドストックは、このように彼らが住み着いたことをきっかけとしてミュージシャンたちで形成された一種の音楽村であった(1)。 雰囲気を東京に見立て想像するならば、長谷川利行らをはじめ画家や詩人たちが多く集っていた武蔵野の面影がわずかに残る1930年代の椎名町周辺といったところであろうか(2)。   さて、ここにBEARSVILLEという地名をその名に冠してレーベルの立ち上げとスタジオ建設にやってきたのが、そう、名マネージャーにしてアメリカ音楽界にその名を刻むアルバート・グロスマンである。 アルバートのことまで追い始めると、文字数を超えてしまうので割愛するが、私がBEARSVILLEの作品とはじめて出会ったときの話もすこし聞いてほしい。   私がはじめてBEARSVILLEの作品に接したのは、何年も前の冬に聴いたボビー・チャールズだった。 盤に針を落とした時から、まるで木洩れ日を浴びたウッドストックの木々の葉脈を伝い、ひと雫落ちてきたような瑞々しい音像と伸びやかに歌うボビーや美しく編んだ音色を奏でるミュージシャンたちに夢中になった。 特にSIDE Aの3曲目"I Must Be In A Good Place Now"は、その歌詞と相まって録音した瞬間の"幸せな空気"をそのまま写しとったような音像に心奪われ、聴いている自分の居場所までもが彩られ夢見心地だったことを今でも鮮明に思い出すことができる。   話を戻すが、もちろんこの作品だけではなく他にもHUNGRY CHUCKやTHE [...]